​全身性強皮症治療薬

 全身性強皮症は皮膚や組織にコラーゲンが蓄積し線維化する原因不明の疾患です。全身の諸臓器、特に食道、肺、胃、腸、関節などを侵し、進行すると間質性肺炎、腎クリーゼなどを併発し生命にかかわることがあります。

 現在のところ、ステロイド剤等による対症療法しかなく、残念ながら根治させる薬はありません。そのため国の難病に指定されています。

 全身性強皮症の発症に関わる種々の重要タンパク質が同定されていますが、治療薬スクリーニングの指標となる分子標的は絞り込まれていません。そこで、細胞が形質転換を起こし集塊を形成すると組織が線維化することから、このプロセスを抑える化合物のフェノタイプスクリーニングを行い、有効化合物HPH-15を得ました。

HPH-15 phenotype screening.png

 皮膚や組織にコラーゲンが異常に蓄積すると全身性強皮症が起こります。サイトカインTGF-βが細胞膜上の受容体に結合すると転写因子Smadのリン酸化とコラーゲン遺伝子の発現が起こります。HPH-15はこのプロセスを抑え、コラーゲンの発現を低下させました。

TGF-b signal suppression.png

 抗がん剤のブレオマイシン(BLM)の副作用として線維化が知られています。マウスの皮膚にブレオマイシンを注射するとその部位の皮膚が肥厚して全身性強皮症と同じ状態の皮膚になります。このようにして作った強皮症モデルマウスに化合物HPH-15を経口投与したところ、皮膚の肥厚が正常化しました。これは熊本大学皮膚科の尹浩信教授、福井大学皮膚科の長谷川稔教授との共同研究の成果です。

​ 私たちは化合物HPH-15を、世界初の全身性強皮症の治療薬にしたいと考えています。

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