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糖尿病治療薬

 フィチン酸(IP6)は癌細胞増殖抑制、糖尿病改善、免疫力上昇、腎結石形成抑制、コレステロール低下、冠動脈疾患発症リスク軽減などの多彩な活性を持つことが知られています。しかし、 IP6は多くのリン酸の負電荷を持つため細胞膜を通りにくく、薬に結びつけるには限界がありました。

 そこで私たちはそこでフィチン酸に酪酸を結合させたプロドラッグPro-IP6を開発しました。Pro-IP6は細胞膜を通過して細胞内でフィチン酸を生成することが分かりました。

 Pro-IP6の糖尿病薬としての効果を検討しました。

 メトホルミンは1960年代から今日に至るまで用いられている、糖尿病の第一選択薬です。メトホルミンが糖尿病に効くのはAMPKという蛋白質を活性化し、細胞外からのグルコースの取り込みを促進するからです。私たちがPro-IP6の作用を調べたところ、メトホルミンに比べて200倍強力にAMPKを活性化し、グルコース取り込みを促進することが分かりました。メトホルミンを投与すると乳酸を生成するので乳酸アシドーシスを起こさないように気をつけなければなりませんが、Pro-IP6は乳酸を酸性しないことが分かりました。

 Pro-IP6を糖尿病モデルマウスに経口投与したところ、メトホルミンより少ない投与量でマウスの血糖値を下げることが分かりました。

 Pro-IP6を糖尿病治療薬のシーズとして展開する計画です。

Pro-IP6メカニズム.png
血糖降下.png
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